「ええ、そうなの。また見に来て下さるって言っていたわ」
アルフォークはスーリアの花談義に隣でじっと耳を傾けていてくれた。この世界にきてから初めての花愛好仲間ができたことにスーリアの心は踊った。しかも、相手があんな美丈夫であればなおさら気持ちが浮足立ってしまう。
「花と言えば…」ともくもくと食事をしていた父親のベンが思い出したようにフォークを止め、スーリアを見た。
「お前の花はよく売れたよ。今日も完売だった」
「まあ、本当?」
ベンの言葉に、スーリアは目を輝かせた。つい先日から、スーリアの育てた切り花を野菜と一緒に売り始めたのだ。買ってくれる人などいるのかと心配だったが、父親によると思いのほか売れ行きは好調らしい。
「パン屋さんがとても綺麗だから店の軒先で売ってはどうかって言ってくれてるんだが、どうする?」
「パン屋……。リジェルのところね?」
「そうだ」とベンは頷いた。
「リジェルったらすっかりと大きくなって、今はパン作りの修業中なのよ。背もこんなに高くなって」



