「魔法騎士団って聖魔術師と一緒に行動するでしょう? 今の聖魔術師団のトップは第二王子のエクリード殿下なのよ。スーリアに治癒魔法をかけてくれたのはエクリード殿下だってスティフが言っていたわ」
「第二王子殿下が?」

 スーリアは思いがけない話に目を丸くした。第二王子殿下がただの町娘に治癒魔法をかけてくれるなど、とても恐れ多い話だ。しかし、第二王子殿下ともなると身分が違いすぎてお礼も言うことは出来ない。さすがにスティフに頼んでも手紙を渡すのは難しいだろう。スーリアは心の中で顔も知らぬ第二王子殿下にお礼を言った。

 スティフが連れてきた魔法騎士団長のアルフォークは、近くでみるとびっくりするような美丈夫だった。水色の流れるような髪を後ろで緩く結んでいて、薄い紫色の瞳は吸い込まれそうな感覚を覚えるほど美しかった。鍛え上げられた身体は引き締まっているのが服の上からでもわかり、背は百八十センチ以上はありそうにみえた。魔法騎士団長として立場も申し分なく、多くの女性に人気なのも納得だ。王女殿下のお気に入りと言うのも頷づける。

「団長閣下は花が好きみたい」
「花が?」

 スーリアの話にメリノは驚いたように目をみはった。