「まあ、スーリア。そんなに急いでどうしたの?」
「父さんが私の花畑を広げていいって言うから、花の苗と種を買いに行こうと思ったのよ」
「あら、ちょうど私も町に夕食の買い出しに行くの。じゃあ待ってるから一緒に行きましょう」
「わかったわ。すぐに準備する」

 スーリアは慌てて自室に駆け上がった。少しばかり土で汚れた服を脱いで手持ちの別のワンピースに着替える。母親に頼んで少しばかりのお小遣いを貰うと、メリノと町へ出かけたのだった。



 町で先に夕食の買い物を済ませると、スーリアとメリノは父親に教えてもらった行きつけの苗木や種を扱う園芸店にむかった。店の中には観賞用の植物から野菜の苗、草花の種までありとあらゆる植物が揃っている。花だけでもスーリアが元の世界で知るものから、今まで全く見たこともないものまで様々だ。
 スーリアが熱心に種を選んでいると、けたたましい鐘の音が鳴り響き、しばらくすると今度は馬の蹄の音がひっきりなしに聞こえてきた。