しゃがみ込んで花の世話をしていたスーリアは父親を見上げた。ちゃっかりと花園の区画を大きくしていいかも聞いてみる。
 元々花屋になりたかったスーリアにとって、自分の花が売れるのは何よりも嬉しいことだ。

「ああ、きっと売れるさ。うちのかわいいお姫様はお強請り上手だな。あっちの空き地を使うと良い」

 父親は日焼けした顔をくしゃりと崩して笑った。なんだかんだいって娘に甘いこの父親のことがスーリアは大好きだ。

「ありがとう、父さん! さっそく種や苗を買いに行かないとだわ。父さん、その……少しだけお小遣いをもらっても?」
「はっはっはっ。いいだろう。母さんに言って貰いなさい」
「ありがとう、父さん! 大好きよ。もし花が売れたら返すわ」

 満面に笑みを浮かべて喜ぶスーリアを見て、父親も嬉しそうに微笑んだ。
 スーリアは早速町に買い物に行こうと思って小走りで家へと戻って行った。息を切らせていると、玄関先でちょうど夕食の買い物に行こうとしていた姉のメリノとばったりと出くわした。