公開訓練が終了し、観客たちが次々と魔法騎士団の団員達に労いの言葉をかけたり差し入れを渡すために近づいていく。最前列からだいぶ後方で見学していたスーリア達はすでにだいぶ出遅れていた。

「御礼、言えるかしら?」
「うーん。団長さんは凄く人気があるらしいから、どうかしら? 近づけると良いのだけど。スティフにも近づけないか聞いてみるわね」

 メリノは考えるように自分の頬に手をあてた。メリノの婚約者であるスティフは、魔法騎士団の末席の方に名を連ねている。
 末席と言えども魔法騎士は魔法騎士だ。メリノのような農家の娘が魔法騎士を射止めるのはシンデレラストーリーとして周りの羨望の的だった。でも、スーリアはメリノのような美人で優しい女性がいい男を射止めるのは至極当然に思えた。スーリアは美少女だか、メリノもまた透き通るような透明感がある美しさがある女性なのだ。

 婚約者のスティフが近づいてくるのに気付くと、メリノは花が綻ぶかのような可憐な笑みを浮かべた。

「スティフ、勝利おめでとう!」

 お祝いの言葉を贈るメリノを見て、スティフも蕩けるような笑みを浮かべた。スーリアは本当に美男美女カップルでお似合いの二人だと思った。