『こんなの、おかしいわ! 現に、王宮に空間の歪みが発生して、魔獣が現れたのよ。この娘のせいだわ!』

 あの日、プリリア王女はスーリアを指さしてそう叫んだ。それを制したのはエクリードだった。

『我々もおかしいと思って、調査したんだ。ルーエンが探索魔法を使って、ここ最近花畑に立ち入った人間を全て調べた。その結果、非常に興味深い話が聞けたぞ』

 エクリードに冷ややかに見つめられ、プリリア王女はサッと青ざめた。

『その話を今ここで聞きたいか、リア?』
『わ、私は悪くないわ! 王宮の庭園に咲く花をどうしようが、私は悪くない!』

 プリリア王女はわなわなとその形の良い唇を震わせた。

『ああ、お前は王族な故、この王宮内に咲く花をどうしようがなんら罪には問われない。だが、その結果として多くの者が負傷したんだ。お前はもっと、このことを重く受けとめるべきだ』
『だって、こんなことになるなんて知らなかったのよ! 私は悪くない! この子が悪いのだわ!! こんな子、現れなければ!』