魔法騎士団と言うからには魔法で戦うと思っていたスーリアは少し拍子抜けした。
 カキン、カキンと剣を打ち合う二人は確かに迫力満点だが、普通の騎士と違いは無いように見えた。

 と、その時、一方の騎士を竜巻のようなものが覆い、あたりは晴天なのに突然竜巻に覆われた騎士めがけて雷が落ちた。スーリアは「危ない!」と叫びそうになったが、よく見ると攻撃された騎士の周りにドーム状の覆いが現れて雷は騎士に届いていなかった。

「凄いわ」

 生まれて初めて見る魔法の戦いに息を飲む。結局、勝負はその後の剣の打ち合いにより先程雷で攻撃を受けた側の騎士が勝利したようだった。

 試合が終わり、二人の騎士が頭を覆っていた兜を外すと、あたりからは割れんばかりの拍手と歓声が上がった。遠目に見ると一人は淡い紫色の髪をしていて、もう一人は濃いグレーの髪をしているのがわかった。
 この世界の人たちは色彩がとても鮮やかだ。二人の騎士がお互いの健闘を讃えて握手を交わすと更に歓声は大きくなった。