覚悟していた事とは言え、想像しているのと実際に言われるのでは全く違う。何も言えずにただルーエンを見つめ返すマニエルに、ルーエンは目尻を下げて微笑んだ。

「結婚しよう」

 マニエルは目を見開いた。

「え……?」
「毎日一回はマニィが膝に座ってくれないと、調子が出ない。僕の傍にこれからもずっと居て、可愛いエル」

 ルーエンの顔が寄り、唇同士がちゅっと軽く触れる。

「やっと人型で出来た」

 そう言って少しだけ照れたようにはにかんだルーエンの笑顔は、マニエルが今まで見たどの笑顔よりも優しく、輝いて見えた。