表情を強ばらせてスーリアを見ようとしないアルフォークを真っ直ぐに見つめ、スーリアは眉間に皺を寄せた。

「だが、キャロルに罪は無い。これからも、彼女には花を渡してくれないか? 俺のことは……、許さなくてもいい」

 目も合わさずに淡々とそう語るアルフォークに、スーリアは目の前が真っ暗になるのと同時に、沸々と怒りが湧いてくるのを感じた。これだけ人の感情を振り回しておいて、今さら何を言っているのか。

「何言ってるのっ! お断りだわ。キャロルさんには花は渡さない。欲しかったらアルが取りに来ればいい」
「リアちゃん!」

 怒って詰め寄ろうとしたスーリアを、横にいたルーエンが止める。アルフォークの表情が歪んだ。

「こっちを見て! アル!!」
「リアちゃん!!」

 スーリアは半ばルーエンに引きずられるように部屋を出たが、アルフォークがスーリアを見ることはとうとう無かった。

 部屋を出たスーリアは、ルーエンを睨み付けた。