マニエルは今日もポーションを手に、王宮の入り口近くに馬車で乗り付けた。

「では、三時間後にここに迎えにきて」
「畏まりました」

 初めこそ必死に止めていた侍女も今や慣れたものである。猫の姿に変わった主を笑顔で送り出していた。

 しっかりと手入れの行き届いた木々に、整備された石畳の小径。マニエルは今日もツンと澄ましてその合間を通り抜けた。マニエルにとって、この地面の低い位置から見上げる景色もすっかりと見慣れたものになった。

 マニエルはこの日、いつになくご機嫌だった。それには三つ理由がある。

 まず第一に、昨日は大好きなルーエンがマニエルに会いに来てくれた。花束は持っていなかったが、代わりに王都で有名なアクセサリーショップの可愛らしいリボンのチョーカーをプレゼントしてくれた。

「マニィに似合うと思った。可愛い」