──アルに、確かめなくっちゃ。

 意を決してスーリアはアルフォークとプリリア王女を取り巻く人垣に近づいた。アルフォークの後ろ姿とプリリア王女の顔がよく見える位置でひょこりと顔をのぞかせると、二人の会話もよく聞こえてきた。

「ねえ、アル。このお花、私がお水をあげたのよ」
「そうですか。綺麗ですね」
「でしょう? 私、この花が大好きなのよ。アルも知っているでしょう?」

 微笑むプリリア王女が指さす花はデンドロビウムだった。
 かつて、アルフォークがスーリアに花言葉を聞き、楽しそうに笑っていた花。スーリアはその時のアルフォークの顔を見て、アルフォークがデンドロビウムを好きなのだと思っていた。でも、もしかして王女殿下が好きな花だから微笑んでいたのだろうか。
 スーリアの中で、疑念が膨らんでゆく。

「そう言えば、お父様の側近から聞いたわ。例の不思議な花を育てる少女は、しっかりと繋ぎとめるようにと命じられていたそうね。お兄様がするべきなのに、アルにその役を押し付けるなんて。親しくしていたのはそのためなのでしょう?」
「リア様、それは……」

 眉をひそめるプリリア王女の言葉に、スーリアは息が止まるような衝撃を受けた。