マニエルは何度かこの二人を夜会などで見かけたことがあるが、近くで見ると二人とも噂に違わぬ美丈夫だ。切れ長の目できりっと上がった眉の、凛々しいエクリード殿下。男ながら『美しい』という言葉がぴったりの、中性的な見た目のアルフォーク魔法騎士団長。しかし、この二人に比べてもやっぱり愛しの婚約者が一番かっこいい。マニエルは妙な満足感を感じてフフンと鼻を鳴らした。

 そうこうするうちに三人が動き始めた。これからどこかで、何かの話し合いをするようだ。マニエルは慌ててその後を追いかけた。

「あ、エル。こっちは駄目だよ」

 マニエルがついてきたことに気づいたルーエンは、マニエルに来てはいけないと諭してきた。マニエルは納得がいかず、ルーエンに抗議した。

「ニャー」

 『私も行きたいですわ』と言ったつもりだ。ルーエンは困ったように眉尻を下げ、マニエルを抱き上げた。

「今日は駄目だよ」
「ニャー」
「だーめ。また明日おいで、可愛いエル」