「とてもよくやってくれているわ」

 シュウユがスーリアを見つめる。

「ねえ、恵ちゃん。あなたの恋人はどんな人?」

 シュウユの思いがけない返しに、スーリアは目を丸くした。アルフォークのことを聞かれるなんて、思ってもみなかったのだ。スーリアは少しの間、アルフォークの人となりを考えた。

「かっこよくて、優しくて、誰よりも誠実な人だわ。とても素適な人なの」

 脳裏に蘇るのは優しくこちらを見つめるアメジストのような薄紫の瞳。耳に心地よい『スー』と言う呼び声。抱き寄せられた時の温かいぬくもり。スーリアにとって、アルフォークはいつも優しく、穏やかで、誠実な人だ。自分には勿体ないほど素適な人だと思った。

「へえ、そんなに素適な人なの? いつか私も会いたいわ」

 横で聞いていたリアちゃんは、目をキラキラさせて身を乗り出した。

「いつか会えるわよ」とシュウユはリアちゃんに微笑んだ。そして、スーリアに微笑んだ。
「恵ちゃん。今思っていることを忘れないでね。あなたの恋人はかっこよくて、優しくて、誰よりも誠実な人」

 優しく目を細めるとふふっと笑ったシュウユを見て、スーリアは首をかしげた。なぜシュウユがこんなことを言ったのか、この時はわからなかったのだ。