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 アルフォークが薬草園に併設された花畑を訪ねてきた時、スーリアはちょうど水遣りを終えたところだった。
 花畑の草花に残る水滴が夕陽を浴びてきらきらと輝く。これまではバケツを持って何回も水場と花畑を往復していたが、最近はアルフォークに貰った水属性の魔法石のお陰で、すぐに水遣りを終えることが出来るようになった。
 
「スー」
「アル!」

 優しい呼び声に振り返ると、アルフォークが花畑の入り口でこちらを見ながら頬笑んでいた。スーリアはパッと表情を明るくしてアルフォークの元に駆け寄った。

「今日もルーエンさんのところに?」
「いや、今日は第二王子殿下に呼び出されたんだ」
「第二王子殿下?」

 スーリアは少し顔をかしげる。少しアルフォークの元気が無いように見えたのだ。

「スー。もしかすると、俺は爵位を賜るかも知れない」
「爵位?」
「伯爵位らしいんだが、まだ分からない」