そう思ったスーリアは、値札を見て怖じ気づいた。
 高い。想像以上に高かった。メリノはもうすぐ結婚するのだから、ティーカップのセットは実家用とメリノの新家庭用の二つ必要だ。しかし、そのティーカップセットを二つ買うと、持っているお給金の半分以上が無くなる値段だった。
 すぐには決められず、スーリアはティーカップを棚に戻した。

「気に入ったのではなかったのか?」
「気に入ったわ。でも、高すぎるわ。これを買ったら、花の苗や肥料を買うお金が殆ど残らない」

 しょんぼりとするスーリアを見て、アルフォークは考えるようにティーカップセットを見つめていた。

「このティーカップセットは二客組だ」
「そうね」
「では、俺と一客ずつ負担しようか。俺の一客はスティフへの祝いだ。スティフは部下だし、悪くないだろう? スーリアからは姉上に、俺からはスティフに」
「いいの?」
「俺が提案したんだ。ダメなはずないだろう?」

 スーリアは値札を見た。単価が高いので、アルフォークが一客分負担してくれるだけで、だいぶ助かる。スーリアはアルフォークのお言葉に甘える事にした。