「スーがどうしてここに?」
「あの……装花師のお手伝いをしていて……」
「装花師の手伝い?」

 アルフォークの表情が訝し気なものに変わる。スーリアは先ほどのエリクと全く同じ反応をアルフォークが示したので、何か自分が悪いことをしたのかと不安になった。

「装花の花を皆さんが引き抜くものだから、花畑に花を摘みに行こうと思ったの」
「花畑に? 一人で? 危ないだろう」
「危ない? なぜ??」

 アルフォークは言葉に詰まった。
 舞踏会の日は庭園に出て逢瀬を楽しもうとする男女が必ず現れる。女性が不用意に庭園に一人でいると、火遊びの相手を誘っているのだと勘違いされる。しかし、目の前のスーリアはキョトンとした顔をしてアルフォークを見上げており、全くそんなことは知らない様子だった。

「……狼が出るかもしれない」
「狼? 王宮で狼がでるなんて、一度も聞いたことがないわ。狸の間違いではなくて?」

 スーリアはくすくすと笑った。