宮殿に着くと、宮殿の中はいつもにも増して豪華に飾られていた。特に、随所に置かれた装花は素晴らしく、会場全体に華やかさを添えていた。

 そんな豪華に飾られた廊下を通り抜けると、アルフォークは宮殿の奥へと足を進めた。
 妙に足が重い。冗談抜きで鉛のようだが、行かないと実家が不敬罪に問われる可能性だってある。アルフォークはなんとか足を進め、一つの扉の前で立ち止まった。

「お待たせしました、リア様」

 扉をノックすると、中からプリリア王女の侍女が顔を出した。すぐにその後ろからプリリア王女本人も顔を出す。今宵のプリリア王女は水色のシルク製ドレスを身に纏っており、そのドレスは彼女の白い肌に映えてとても似合っている。

「どうかしら?」
「とてもお綺麗です」
「ふふっ。そうでしょう?」

 プリリア王女はアルフォークの褒め言葉に満足げに微笑むと、スッと手を差し出した。アルフォークはその手をとり、甲にキスを落とした。