魔術研究所のテラスの一画。
 ルーエンによって張られた遮像・遮音壁のエリアの中で今日も噂の三人組は紅茶を片手に議論を交わしていた。

「アルに言われて、あの後調べてみたんだ。確かにあの日は花の効果が薄かったね。闇属性の灰になるのはもちろん、他の属性魔法で攻撃した際も花がしおれたんだ」

 ルーエンの説明にアルフォークは真剣な顔で聞き入った。エクリードは話を聞きながら、時折パンを摘まみ、口に放り込んでいる。

「ところがだよ」とルーエンはいったん言葉を切った。
「翌日にはいつもと同じように花の効果が回復していたんだ。なぜだろう? 僕の仮説では、リアちゃんの体調とリンクしているんじゃないかと思ったのだけど」
「スーの体調? あの日、スーは体調は悪くなかったぞ?」
「え? でも、元気がなかったってミリーが言っていたよ?」
「あれは飼い猫が体調不良で落ち込んでいただけだ」

 アルフォークの言葉に、ルーエンは驚いたように目をみはった。ルーエンはスーリアの飼い猫のミアが体調を崩していたことなど全く知らなかったのだ。