アルフォークは馬を走らせながら自身の腰にさがる剣を軽くなでた。そして、スーリアの花の包み紙が入ったポケットのあたりを鎧の上から触れた。前方から斥候をしていた部下がアルフォークに報告に戻ってきた。

「魔獣がいます。ファイヤーグリムが二匹です」
「ファイヤーグリムが二匹か。通常通りの戦い方で問題ないだろう」

 アルフォークは部下の報告に頷いた。
 ファイヤーグリムとは炎を操る魔獣だ。見た目は背筋の曲がった猿のようで、二本足で歩く。動きは猿並みに俊敏で、攻撃力は中級と言ったところだ。

 一つの対象にあまりにも沢山の魔法騎士で攻めると逆に上手く攻撃出来ない。ファイヤーグリムの大きさだと、精々こちらは三人だ。アルフォークは団員から素早く六人を選んだ。

「そうだな……。キャロル、行けるか?」

 アルフォークに指名された魔法騎士団で唯一の女性かつ最年少の騎士――キャロルは表情を固くした。