ルーエンはアルフォークを見つめたりまま口の端を持ち上げる。アルフォークは居心地悪そうに視線を逸らした。
アルフォークには二人の姉が居る。その美貌から社交界で『白薔薇姫』『白百合姫』とそれぞれ賞賛される二人だが、アルフォークからすれば可憐な花とはほど遠い二人組だ。
可愛らしい見た目だった幼少期のアルフォークはこの二人から人形代わりに散々弄られた。
着せ替えごっこでドレスを着せられたり、髪を結いあげられたり、挙げ句の果てに下手くそな化粧をされてお姫さまごっこにかり出されたこともあった。
まさにアルフォークの中の黒歴史である。
アルフォークはその反動で強い男に憧れて騎士を目指した。
騎士学校にいくと一気にモテ始めたアルフォークをここでも女難が襲う。揉みくちゃにされて私物を持ち去られたり、服を破かれるのは日常茶飯事。アルフォークと仲良くなりたい女の子達が喧嘩を始め、仲裁に入ったら何故か平手打ちを食らったこともある。
そして魔法騎士団に入っても女難は続く。
舞踏会で飲み物に媚薬を混ぜ込まれたり、待ち伏せされたり。そして、極めつけがプリリア王女だ。毎度毎度、顔を合わせるたびに我が侭に付き合わされて本当にうんざりである。



