「ぐるぐるぐるって三回半よ? 今のは三回だったわ」
「え? そうかな?」
「もう一度見てて。こうよ」

 リアちゃんはもう一度木べらでぐるぐるっと鍋の中身をかき混ぜた。スーリアは横で見ていたがちっとも違いがわからない。見よう見真似でやるが、またダメ出しされてしまった。そうこうするうちに野いちごは煮詰まって来てだんだんとジャムらしくなる。

「このくらいの緩さになったら火を止めて冷ますの」
「うん、わかった」

 全ての作業を終えた頃、どこからともなく創造の女神のシュウユが現れた。にこにこしながら鍋を覗きこんでいる。

「あらぁ、美味しそうだわ」
「正確なレシピが無いから、きちんと再現できるか心配だわ」

 調理器具を洗いながら、スーリアは肩を竦めて見せた。

「あら、試行錯誤するから楽しいんじゃない。甘酸っぱい野いちごジャムは初恋の味ね。今の恵ちゃんにぴったり」
「?? なんのこと?」

 怪訝な顔をするスーリアと目が合ったシュウユは楽しそうにうふふっと微笑んだ。スーリアはそんなシュウユをみて首を傾げたのだった。