アルフォークは少し迷ったが、中に入る事にした。

「いらっしゃいませ――あら、アルフォークさん!」

 アルフォークを認識した途端、スーリアの表情はパッと明るくなった。アルフォークはその様子を見て口の端を持ち上げた。

「スーリアに会いに行ったら父上殿にここだと言われたんだ。今日はまだ店番か?」
「いえ。ちょうど終わるところです。今日も花を見たいのですか?」
「ああ。出来れば頼む」
「喜んで。すぐに帰る準備をします」

 スーリアはそれを聞いて慌てたように外にバケツを片付けに行こうとした。それを庇うように、隣に居る今さっきまでスーリアと歓談していた茶色いくせ毛の男がスーリアの前に立つ。

「リア、知り合いか?」
「うん。私を助けてくれた魔法騎士の団長閣下だよ」
「へえ。こいつがお世話になりました。でも、団長閣下がうちのリアに何のようですか?」

 くせ毛の男は上から下まで怪訝な顔をしてアルフォークを眺めた。スーリアは慌てたようにそのくせ毛の男と腕を引いた。