──そういえば、パン屋の手伝いを始めると言っていたな。

 先日スーリアに言われた事を思い出した。場所は確か……。

「坂を下りたところにあるレッドハットベーカリー?」
「そうです。花を軒先で売って貰ってるんですよ」

 ベンはアルフォークに頷いて見せた。

「近いか?」
「歩いて十分くらいかな」
「なら、馬ですぐだな。見に行ってみる」

 そこまで言って、アルフォークはふと思い付いてベンに尋ねた。

「スーリアの育てる花はとても保ちがよいが、昔からああなのか?」
「いえ。実はスーリアが花を育て始めたのがここ最近でして。よくわかりません。育て始めたらああなって、私も驚いています」

 ベンは首を横に傾げた。その話は部下のスティフやスーリア本人から聞いた話と一致する。