「ほら、可愛いでしょ?」

 スーリアはおずおずと父親のベンを見上げる。ミアは長細い尻尾をクリンと振ると、ベンの方を向いて「ミャア」と一回鳴いた。まるで、ベンに向かって「はじめまして」と言ったように見えた。

「仕方がない。きちんとお世話するのだよ」
「ありがとう、父さん! 私、きちんとするわ。約束する!」

 スーリアはぱあっと顔を明るくすると、ミアを抱いたままベンの腕に抱きついた。スーリアに腕を引かれ、ベンは休憩がてら家へと戻っていった。


 ***


 アルフォークがスーリアの自宅を訪ねたとき、スーリアは不在だった。スーリアの花畑に行ってもスーリアがいなかったので、アルフォークはきょろきょろと辺りを見渡しながら辺りを歩いてみた。花畑の周囲には広い野菜畑が広がっている。