ルーエンが花を一輪摘まみ上げ、闇属性の攻撃魔法をかけた。バチンという音がして、防御壁が出来るところまでは同じ。ただ、花は先日と同様に灰になっていた。

「灰になったな」

 アルフォークはばらばらの灰になった花を見て腕を組んだ。

「そう。闇属性の魔法の時だけ灰になる。つまり、この花は闇属性の魔法と力を打ち消し合っているんじゃないかと思うんだ。花自体に聖属性の加護のような力がある」
「聖属性の加護……」とアルフォークは呟く。

 もしそれが本当であれば、間違いなく世紀の大発見だ。この花の秘密が知りたい。そのためにも、もう一度スーリアに会いに行こう。そう考えながら、アルフォークは自分でも気付かないうちに口の端を持ち上げた。

「ところでアル。例の小説の続きがもうすぐが出るみたいだよ。今予告が出てるんだって」
「何?」

 アルフォークは一転してとても嫌な予感がするのを感じた。