自分のためだけにお金を遣い続けてハタと気付いた。お金がある今、惜しむことなくお金をかけられることが他にもある。
 プレゼントだ。
 誕生日、父の日母の日、敬老の日、お中元お歳暮お年始、クリスマス、バレンタインetc...他には何がある? 旅行土産もあるか。旅行に限らずちょっとどこかに行って、買い物出来る場所と時間があったら兎に角買って誰かにあげちゃおう。
 直近の誕生日は誰だ? 職場で仲良しの同僚が居るか。彼女はブランド物に興味が無いけどとてもおしゃれだ。ブランドに絞れないというのは決め手に欠けるけど、それなりの価格の物なら気に入らないにしても拒否はされないだろう。もし、拒否されそうだったら、知り合いの店だから売り上げ協力してあげたくて、と言ったらセーフ? 遠慮されるだろうから、滅多に出来ることではないこれで最初で最後と言って、パーティーを企画してあげようかな。ひとまず当日開催は避けよう。家族や大切な人とお祝いするかもしれないし。当日はプレゼントを渡すだけにする。
 プレゼントは週末を過ごすホテル内にあるセレクトショップで探すことにした。何が良いかなー。他の人にもあげるから、突拍子も無い物をあげちゃうと恐れられちゃうしな。他の人へのプレゼントに繋がるシリーズにしようかな。イヤリングあげたら次の人にはペンダント、次はブローチやコサージュ、次はバングル、指輪。。。男性にはタイピン、ベルト、みたいな感じで。
 彼女はピアス開けてたっけかな。仕事中はイヤリングしてるの見たことないしな。ん? てことは開けてない? 金属アレルギーがあるかもしれない。そしたら…イヤーカフにするか。決まり。
 てことでハワイ産のアバロニを加工したイヤーカフを買った。大中小の輪が重なっているデザインで、左右の耳どちらにも使えるデザイン。1つずつ外しても3連にしても使える。一番小さい輪はスカーフリングとしても使える。チャームを付けたら指輪としても使えると店員が言ったので、アバロニパールのチャームも買った。2万円超えたけど、そんなに高くは見えないから大丈夫かな。
 誕生日の当日に渡した。その時に、都合の良い日を訊いて、誕生日パーティーしようね、とだけ告げた。出席者にはプレゼントはみんなでお金を出し合ったってことにして花束をプレゼントしよう、と伝え、年齢の数だけの色とりどりのバラの花と、花卉が無いかもしれないから、おしゃれな花卉も付けた。そして私が食事代とそのプレゼント代を全部出した。
「一体どうしたの?!」
 と同期から驚かれたけど、今年1年は好きにさせて、とだけ答えた。来年はやらないから、と。周囲の反応を窺うと、どうもこのような企画はあまり喜ばれないらしい。日本人の奥ゆかしさなのかな、と。
 1年間だけ、仲良しの誕生日をイベントとして企画し続けた。結果、1年でやめて正解だった。何しろお返しが来るのがめんどくさかった。家の中に余計な物が増えたし。食べ物ならまだ助かるけど、外食に切り替えた私にとっては無用の長物だった。
 社内でのプレゼントのやり取りは無いほうが良いね。ってことでクリスマスにしてもバレンタインにしても1年だけでとっとと切り上げた。
 お金は全然減らない。