「そうなんすかー。無理はしないほうがいいですよ。あ、その唐揚げもらいますね」
「唐揚げ沢山あるから持って帰ってね。タッパーに詰めておくね」
「やったー!」
「……おまえは少し遠慮をしろ」
矢鏡の心配をよそに、肇は自分のペースで話を進めていく。
早く紅月の呪いを何とかしなければいけないのだから、ゆっくりしている時間はないのだ。
けれど、紅月は少し辛そうにも見えたが、肇との会話を笑みを浮かべながら楽しそうしている。
いつも2人だけで過ごしていたが、他の人間を交えて話をすることはなかった。2人だけでゆったりと過ごす時間もいい。けれど、たまには賑やかに過ごすのも紅月にとってはいいのかもしれない。
「あ、そういえば。今度、神様の神社いきたいんすよねー。今回もお礼もかねて」
「な……本当か!?」
思ってもいなかった言葉に、矢鏡は体を前のめりにして大声でそう言ってしまった。肇はそれに驚いたよう様子で「いや、お参りするだけだけど……」と、言葉を洩らした。
そのお参りこそが、矢鏡にとって1番欲しいものなのだ。思ってもいないところから願いが叶えられた。
「おまえ、しっかり感謝して祈ってこい」
「はぁ……」
「お供え物はなんでもいい。置いてけ。なんなら、少しぐらい掃除しろ」
「……なんか次々に面倒を押しつけられているような気がするんだけどー………」



