転校生は双子くん


「いいなー。終了式…」


うちの学校は、文化祭の終わりに”終了式”というものがある。


表彰や、先生方の話のほかに、全員でダンスを踊ったりする。



教室の窓から、身を乗り出して校庭を覗くと、生徒たちがチラホラ集まっている。


文化祭が終わりに近づいている今もなお、テンションの高いまま盛り上がりをみせている。


キャーキャー追いかけっこをしている生徒。

衣装のまま、校庭で撮影会をしている生徒。

輪になって雑談している生徒。


各々、終了式前の空いた時間を楽しんでいるようだ。




室内に視線を戻すと、物が散乱している教室の様に、溜息が漏れる。


「これを片付けるのかー…」


ある程度まで、クラスメイト達が片付けてくれたとはいえ、これを元の教室の姿まで戻すには、けっこう骨が折れる作業のように思う。


片付けられるだろうか…。



「ま!なるようになるさ!
 みんなが戻ってくるまでに、ピッカピカにして驚かしちゃおう~!」



食器や、まだ使えそうなものはダンボールへ。

もう使えそうにないものはゴミ袋へ。



”どんな苦難も、楽しくできるのは自分次第よ”

と両親が教えてくれた。



わたしは、校庭から聞こえてくる音楽を口ずさみながら、テンポよく作業していく。


「ラララ~♪ルル~♪」


終了式には出れないけど、誰もいなくなった教室で楽しくお片づけも悪くないよね。



誰もいないから、1人カラオケだって出来ちゃうし、

こんな風に、フリつけで踊ったって恥ずかしくない……






「楽しそうだね」





誰かいたーーー!!