奥のほうからボソボソと喋り声が聞こえてくるし、暗幕のカーテンで隠しきれていない足元には生徒達のうわばきが見える。
「…聞こえてますよー…」
私が周りに呼びかけるように言うと、
「ちょっと!喋っちゃダメだって!」
「一番煩いのはお前だろー」
言い争う声が返ってきた…。
そして、足元に見える上履きがバタバタと移動し、止まったところでジェイソンの被り物が「うらめしやー」と顔を覗かせた。
「………」
「外国の殺人鬼はそんな台詞、言わねぇだろ…」
冷静にツッコミをいれるクリリン。
糸で吊るされたコンニャクが頭上から降ってきても、クリリンは冷静にそれを掴みとり、奥のほうへ投げ返した。
「キャー!コンニャクが戻ってきたぁ!」
「瀬戸内くんカッコイイ!」
そんな調子で、あっという間にゴールへ辿り着いた”世界一怖いお化け屋敷”
「あんまり恐くなかったねー!」
私が安心したように言うと、クリリンから「チッ」と小さく舌打ちが返ってきた。
そうか、クリリンは恐いの好きなんだ…。
「クリリン!物足りなかったの?」
「……まあな…」
やっぱりそうなんだー。
だから修学旅行の怪談話もへっちゃらだったんだなー。
私は納得した。


