すると、私の横を千円札がスッと横切った。
「お前なー、ウロチョロすんな」
「クリリン…」
クリリンは、お釣りを受け取ると、お財布の中に仕舞った。
「クリリン…お金…」
「俺が強引に誘ったんだから気にすんな」
「でも…」
「しつこい。いらないって言ってんだろ。
素直に受け取っとけ」
私はクリリンの好意を受け取ることにし、「ありがとう」とお礼を言うと、クリリンから「別に…」とそっけない返事が返ってきた。
修学旅行でチャーリーが
”女性をエスコートする時は抜かりなくって、両親から教育されている”
って言ってたけど、同じ家で育ったからクリリンもそうなのかな?
分かりやすい優しさをくれるチャーリー。
分かりにくい、不器用な優しさをくれるクリリン。
タイプは違うけど、2人とも優しいんだよね。
「良子ーー!!
良子ーーー!!!」
背後から聞き覚えのある、私の名前を呼ぶ声が聞こえて振り向いた。


