「あー…せっかくだから、どっか回るか?」
頭を掻きながらクリリンが言った。
また目が泳いでる…。
よく見ないと分からないけどね。
「うん!私、たこ焼き食べたい!!」
わたしは明るく答えた。
「たこ焼き?どのクラスでやってんだ…」
ポケットから文化祭の案内地図をとりだし、調べ出したクリリンに、私のイタズラ心に火がつく。
クリリンに腕を絡ませて、私は言う。
「アナタァ?今日は一体、どこに連れて行って下さるのぉ?」
出張・新妻喫茶!
ぷぷぷ。
クリリンびっくりしてるー!
すると、ちょっとムッとしたクリリンが、私の両頬をつかみ、左右に引っ張った。
「それは、やめろ!」
「ワハリマヒタ」
クリリンは私の顔を見て、ちょっと笑ってから放してくれた。
「これでも着てろ」
それから、自分のブレザーを私の肩にかけてくれた。
わー、ブカブカ…。
新妻の制服に、ぶかぶかのブレザーって合わないな。
足元、スリッパだし…。
「じゃあ、行くか」
「うん!」
私はクリリンの背中を追いかけた。


