転校生は双子くん


「……は?」


クリリンもようやく口を開いた。




「…私の酸素を返せ!」



「はぁ?」


「はぁ?じゃない!
私の酸素をあれだけ奪っておいて!!」



クリリンが溜息交じりに言う。



「そんなに酸素が欲しけりゃ吸えよ」


「ああ、吸うともさ!
この辺一帯の酸素は、ぜんぶ私が頂く!」



私は言葉の通り、思いきり息を吸った。

口と鼻を両方つかって、肺いっぱいに空気を送り込む。


だが、酸素と一緒にホコリも吸い込んでしまい、ゴホゴホと咽てしまった。



「ほんとお前ってバカ…」


そんな私の様子を見ていたクリリンが呆れたように言った。



「クリリンがこんな所に連れてくるのが悪いんでしょー!
もう私、教室帰る!」



クリリンの横を通りすぎようとすると、またクリリンに腕を掴まれてしまった。



「なんじゃい!」









「…頼むから…行くな」



喉から搾り出したような、クリリンの声に私は驚く。


クリリンの、こんな声初めて聞いた…。




気づくと私は「わかった」と頷いていた。





私の腕を掴む手が、震えているような気がしたから─…。



クリリンが捨てられた猫のような、悲しい、寂しそうな顔をしていたから─…。