クリリンは私の腕を掴んだまま、人で賑わっている廊下を押しのけるようにしてズンズン進んでいく。
周りの生徒達が、何事だと唖然とした様子で見ている。
私もこんな格好だし、クリリンは有名人だから目立つのだろう。
「ちょっとクリリン!どこ行くの!?」
廊下の端まで来たとき、ようやくクリリンは腕を放してくれた。
ちょうど廊下の端は、資料室や準備室がある為、周りに人の気配はない。
「一体どうしたの?」
クリリンは暫く沈黙したあと、口を開いた。
「……お前に聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
なんだろう?
何かあったのかな?
「お前…他の奴にもあんな事してるのか?」
「あんな事?」
あんな事ってなにさ?
「……アナタとか、さっきお前が言ってたやつ…」
「アナタ?さっき言ってたやつ?」
ああ、新妻喫茶のことかな?
「あ!他のバージョンもあるよ!
曲がったネクタイを直すバージョンとか」
もしかしてそっちの方が良かったのかな?
でもクリリン、ネクタイ曲がってなかったし…。
「そうじゃなくて!」
「ん?じゃあ何?」


