走って行く後ろ姿を、眺めながらゆうきくんを見送った。


―――・・・私・・・


冷静になって思い出すと、顔が
一気に熱を発して、あつくなっていくのがわかる。


心臓が、ドッドッドッと鼓動が早くなって、

ゆうきくんが触れた手の温もりや
感触を・・・何度も何度も思い出してしまって


―――ひやぁぁぁぁー!!!


興奮が止まらない。


―――・・・あっ・・・。
雫久ちゃん。って??・・・
雫久ちゃんって!!!
言った!間違いなく!ゆっていた!


笑顔が溢れてくる。
ドキドキがどらなくて。

今日は、花火大会もある。
想像するだけでも・・・。


顔が熱くて身体が熱くなっていく。
産まれて初めての体験に・・・
興奮が冷めやらない。


―――ポンッ―――


誰かが軽く私の肩に手を置いた。


振り向くと・・・

・・・凪紗さん。・・・だった。


私は・・・生唾をゴクリと飲み込んで
彼女のことを静かに見た。


「・・・さっきは、ごめんなさい。
急にビックリさせちゃったんじゃない?
なんか・・・焼きもち・・・焼いちゃったみたいで・・・」


―――・・・素直に認めて謝る・・・
素直に表現できる・・・。ゆうきくんに似ている。


「・・・あっ・・・。私こそ・・・あの・・・誤解させてしまったから・・・」


―――・・・誤解?何を私は、言い訳しているのだろう。素直に・・・なんで伝えれないのだろう・・・。



凪紗さんは、ニコッと微笑むと



「・・・そうなんだよね。ゆうきは、誰にも優しいんだよね。そこが、好きだったの・・・。
皆に優しいけど、私には特別・・・って
解る優しさをくれた」


―――・・・特別な優しさ・・・?・・・
どんな事をしていたの・・・だろう。


「・・・ねぇ。ゆうきの・・・彼女なの?
それとも・・・」


―――・・・あっ・・・きっと・・・
そこが1番知りたいんだ・・・
ゆうきくんと私の関係・・・
・・・・・・解らない・・・。


「・・・私とゆうきさんは、
何の関係もないです」


ボソッと答えた。

―――嘘を付いてはいない・・だけど・・・なんで?胸が・・・痛いよ・・・


「・・・?何の関係もなくて・・・。
ゆうきは、あなたを抱きしめたの?!?」


少し、興奮したように
早口になりながら、強い口調で聞いてきた。


「―――・・・あっ・・あれは・・・。色々
お世話になって・・・」


―――なんの言い訳かわからない。
私こそ聞きたい。なんで?私に優しいのか。
皆に向ける優しさ?なの?・・・特別な優しさ・・・なの?・・・・・・わかんないんだから・・・。