「……みんな笑っている」

フィオナが無表情に呟くと、エヴァンはハッと目を見開く。そしてその笑顔は一瞬にして崩れ、泣き出してしまいそうな顔になった。

「笑いたいのに、もう心が動かない……」

フィオナがそう言うと、その手が優しく握られる。エヴァンは強くフィオナの手を握り、「そんなことない!」とまっすぐ見つめた。

「フィオナの心が動いていないなら、こんなにもたくさん事件は解決していない。フィオナの心はちゃんと動いてる。他のみんなに比べたらゆっくりかもしれないけど、確かに動いてる!」

そういった後、エヴァンはフィオナの手を握っていることに顔を赤くし、「ごめん……」と言って手を離す。温もりが離れていくのを感じ、フィオナは無意識にエヴァンの手を掴んでいた。

「あっ……」

互いにそう言い、見つめ合う。エヴァンは顔をリンゴのように赤くしていたのだが、フィオナは自分がどんな顔なのかわからなかった。ただ誤魔化すように「みんな笑っているのね」と言う。