「乾杯!」

未成年二人はジュース、その他は酒を手にグラスを合わせる。するとすぐにサラダやポテトなどの食べ物が運ばれてきた。

「俺、取り分けますね」

フリージアが皿にサラダを取り分け、無事に事件を解決できたことを喜び合う。その顔はみんな笑顔だ。それを見て、フィオナは自分の顔に触れる。その表情は人形のように固まっており、心も何かを感じているはずなのに感情の名前を思い出すことができない。

みんながわかることが、できることが、自分にはできない。そのことで今まで何も考えたことはなかった。それなのに今、フィオナはみんなのように笑いたいと思っている。

「フィオナ、どうしたの?」

考え込むフィオナにエヴァンが声をかける。フィオナはエヴァンを見つめる。エヴァンは眩しいくらいの笑顔だ。

周りを見れば、シオンとサルビアは優しい微笑みを浮かべ、レティシアは無邪気に笑い、フリージアはどこか不器用に笑い、レイモンドは上品に笑っている。