「それでも、警察官だったあの頃みたいに捜査をしていて、こんなことを思ってしまったんだ。犯罪に巻き込まれた人たちを守りたいって……。馬鹿だよな、こんなたった一人すら守れなかった俺がこんなこと願うなんて……」

フリージアの瞳が揺れる。フィオナは無意識にフリージアの手を握っていた。そして、フィオナの口から言葉が紡がれる。

「フリージアさんは馬鹿ではありません。守りたいと願うことは、決しておかしいことではありません。守れないなんて、そんなことはありません。フリージアさんは一人ではありませんから。特殊捜査チームのみんながいます。だから、フリージアさんが全てを抱えて生きる必要はないと思います」

その言葉たちは、まるで小説を書く時のように溢れ出て行く。揺れたフリージアの瞳から涙がこぼれ落ちた。

「ありがとう、フィオナ……」

一人で抱え続けた悲しみ、重みが、少し軽くなった夜だった。