さっきから前方で聞こえてたでかい声。

人様の思考回路にまで侵入してくるような、迷惑なわめき声。

頭に来てそっちに目をやった。


「あ゛ー~!ムカつく!何が『白髪くん』だよ。舐め腐りやがって!!」


ドスの聞いた声で喚き散らすのは1人の男。

その見た目に若干引いた。

真っ白な髪に、ギョロっとした目付き。

明らかに不良だなって感じの男。


「そっすよね!俺はアゴにくらいましたよ!?」

「俺なんかハイキックだからな!?なんもしてねえのによ!」


周りの取り巻きも明らかに不良だなって感じ。

ボサボサ頭の金髪男に、顔面にホクロかと見間違えるほどピアスしてる男。

……なんだこいつら。

雷神、じゃないよな。雷神のメンバーはもっと見た目が落ち着いてたと思う。


「まあまあ!落ち着かんかい、3人とも!」


最後に1人、関西弁の男。


「俺が話聞いたるから、こんなとこで時間食っとらんでさっさと行こや」


こいつは割とマトモだった。

明るめの茶髪に、両耳には1つずつピアス。

喋り方は関西弁ぽくて珍しいけど、外見はこいつらの中じゃ一番マトモ。


「その女のことなら俺が調べる。せやから心配せんでもすぐ見つけたるわ!」

「すぐ…?俺は今殺してえんだよ!」


殺す?何言ってんだこの白髪。

俺はこういう奴らが一番嫌いだ。

出来ないくせにいきがるんじゃねえよって、反吐が出る。

本当に強い奴を知ってるが故にそう思ってしまう。