「だから、今日はココの為に歌う。聴いてくれる?」

「え……」


目の前に置かれた状況が理解出来ない、といった感じで、私と雷神のメンバーを交互に見る。

不安げな瞳は絶え間なく揺れて、ココは口を閉ざしてしまった。


「嘘ついててごめんね。怒って当たり前だと思う。
嫌いになったなら、もう私と関わらないでいいから」

「ううん、聴かせて」


しかし私の言葉を聞いて表情を変えた。

凛としていてまっすぐな眼差しだった。


「私は、優凛を嫌いになったりなんかしない。
だからそんな顔しないで。私はここにいるよ?」


頬をゆるませるココは、人一倍優しくて心が澄んでる。

正しいと思ったことは、正しいと断言できる勇気を持っている。

そして同情も軽蔑もなくて、ひたすらまっすぐ見てくれるんだ。


「……ありがとう、ココ。
よし!それでは安西優凛。今日も張り切って歌わせていただきます!!」


やっぱり持つべきものは友だ。

みるみる元気がみなぎって、はりきってお辞儀をした。