「ココ!大丈夫?」


目を真っ赤にして震えるココ。大きな目から今にも涙が零れ落ちそうだ。

私はたまらず抱きしめた。


「ごめんね!私が急にいなくなったばっかりに……」

「ううん、優凛のせいじゃ、ない……」


小さな声で一生懸命伝えてくれた言葉。

その声は震えていた。



「ってえ……何すんだこのアマ……!」


ココを抱きしめてなだめていると、飛び蹴りした白髪頭が起き上がった。

蹴りが脇腹を直撃したせいか、不格好にその辺りを押さえながらよろよろしてる。

白髪だからますます年寄りみたい。


「っ、何笑ってやがる!」

「ふふっ……なんでもないっ。とにかく!」


びしっと指をさして言い放った。


「ナンパした相手が悪かったね、白髪くん」

「あぁ!?」

「大体、どこの学校なのあんたら。不法侵入でしょ」

「うるせぇ、俺たちの勝手だ。てめぇには関係ねぇ!」

「あっそ、でもこれ以上危害を加えようとするなら人呼ぶよ。
雷神のみなさーん!侵入者が~!」

「ばっ……騒ぐな、やめろ!」



大げさに騒いだその時、ココが制服の裾を引っ張った。

そうだ、とりあえずこの場から退散しなければ。

私はココの手を引き校舎に走った。

逃げる私たちを、よろめきながら追う白髪。


「クソッ!顔覚えたからな!」


はぁ?負け犬の遠吠えじゃん。

そんなことを思いながら、雷神がいる屋上までココを連れて走った。