「歌姫?……なあに、それ?」


嫌な予感がするのを抑えながらココに質問。


「知らない?この学校で噂されてる人のことなんだけどね」

「ほうほう、どんな人なの?」

「どんな人、っていうか……歌姫のことはある噂から始まるんだけど」

「噂?うんうん」

「その噂の始まりは……」


“悲しいラブソングから”


「え……?」

「私たちが入学してから、歌が聞こえるようになったんだって。
しかも決まって昼休みに屋上から」


探偵みたいにキリッとした顔で語るココ。

けど残念ながらさ、正体不明の歌姫って奴?

それ多分、私だわ。


「最初は雷神の人たちが音楽流してるって思ってる人も多かったんだけど、それが違うみたい」

「違うって?」

「いろんな歌をギターの音色に乗せて……言葉じゃ表せないくらい綺麗な声で、誰かが歌ってるらしいの」


ギターに合わせて歌う?

ああ、嫌な予感的中しちゃった。

100%、それは私だ!