「……結城睦斗(ゆうきりくと)…」


無表情のまま、彼は名称らしきものをぽつり


「え?」

「1年……結城睦斗だ」

「あ、はい……えっ、1年生なの!!?」


1年?この態度でこのオーラでこの貫録で、ピカピカの高校1年生!?総長タメなの!?

信じられん。ひと癖ある雷神のメンバーを従える総長が、まだ15か16歳の少年だと?


「……えー何これ。自己紹介すんの?」


あまりの驚きに呆然としてたら、オウタさんが嬉々として私の正面に躍り出た。


「俺は神代桜汰(かみしろおうた)ね。ちなみに3年。よろしく優凛ちゃん」


総長の流れに乗ってか、オウタさんがおちゃらける。


「2年……瀬戸颯一(せとそういち)だ」


次に銀髪紳士が自己紹介。

紳士は名前までスッキリしてハンサムなのですね。


藤堂璃輝(とうどうりき)!同じく2年!!」


みんな次々に自己紹介してくれる。

教えてくれるのは皆さんの自由だけど、どうしたの急に。

続いては必然的にリキさんの隣の人へ。

一番背がチビっこいそいつ。


「……悠、言わねえのか」

「いや…なんで急に自己紹介なんかしてんすか!」


ちっちゃい体で全力でツッコむサル。

うん、あんたにしちゃ珍しくもっともなツッコミだよ。


「さあ……空気のせいじゃね?」

「なんすか、空気って!?」

「いいから言っとけば~?」

「チッ……1年!速水悠(はやみゆう)!」


オウタさんにテキトーにうながされ、キレ気味に名乗ったサル。

そんなに嫌なら言わなくても良かったのに。

私の中じゃ、あんたのあだ名は“サル”に決定したから。


「で、こいつは……自分で言いそうにないから俺が紹介するか」


オウタさんは最後のメンバーを指す。


「こいつは2年の月島那智ね。すっげー無愛想だけどいい奴だから」


無愛想、見たら分かるけど……那智って2年生だったの。

思いっきり呼び捨てにしてたし。