ひとしきり歌い終わった私はギターを片付けて帰ろうとそれを背負った。


「……待て」

「はい?」

「明日も来いよ」


帰ろうとしたところ、総長に当然の如く命令された。

げっ、またかと返事に困ってると──


「……んな顔すんなよ。そんなに嫌か?」


彼は切ない顔をして私を見つめる。

そんな悲しそうな顔されたら、こっちが悪いみたいじゃないか!

イケメンだから余計胸が苦しい。


「俺からもお願い優凛ちゃん。明日も来て」


今度は隣にいたオウタさんから。


「何気みんな楽しみにしてんだよね。優凛ちゃんが歌うの」

「……む?」

「睦斗も命令口調だけど、一番楽しみにしてんのこいつだからさ」

「……フン」


そっぽを向いて視線を逸らす総長だったけど、否定はしなかった。


「総長さん……オウタさん」


……私、みんなに必要とされてる?

さっきも言ったけど、私は単純だからそれだけで心を許しちゃうタイプなのです。


「……ちょっと待て。()に落ちねえ」


しかし、急に怖い顔の総長さんに睨まれて私は震え上がった。

何が気に入らなかったの!?