リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「泣く優凛ちゃんも可愛いよね」

「黙れ変態」

「うわ、ひっど睦斗」

「俺以外の前で泣き顔見せてんじゃねえよ……優凛!」


感涙にむせぶ私は、睦斗の声を聞き取った。


「……帰るぞ」

「どこ、に?」


ゴシゴシ服の袖で涙を拭き取る。

拭うと現れたのは、風になびく黒髪と優しい笑顔。


「決まってんだろ。帰りを待ってる奴らのところにだ」

「みんなのところ……?」


帰りを待ってるみんなのところ。

そっか、雷神のアジトに帰るんだ。

私の帰る場所。笑っていられる場所。


「ようし、じゃあ帰るか達綺!」

「は?いや、睦斗さんは単車で来たけど、俺と姉ちゃんは電車で来たんで……」

「だったら尚更!俺の後ろに乗れよ」


悠は達綺がお気に入りなのか、自慢の赤と黒のツートンカラーのバイクに乗せようとする。

くそう……私にはあんな態度なのに、達綺には優しいのかお前は!

ううん、今はツッコんでる場合じゃない。

睦斗にお願いがあるんだ。


「ねえ、じゃあ、睦斗。私の家に寄ってもらっていい?ギターを取りに行きたいの」


帰る気でいた、雷神たちの注意をこっちへ。


「みんなに聞いてもらいたい歌があるんだ」


言うと、どうしてかドキドキする。

だって今日は、誰かの歌を歌うだけじゃないから。


「あのね、ただの歌じゃなくて……自分で作った曲があるの。みんなに、聞いてほしい……」