「鼻水出てる」

「くっ……この……!」


──ズビー!

仕方なく、私は勢いよく鼻水をかんだ。


「それにさ、雷神ってこの街を統率してんだろ?あいつらがいれば他の連中は調子乗らないし、良くいえばヒーローみたいなもんだよ」

「はあ?」


暴走族=ヒーロー?どうしたらその等式が出来上がるのさ。


「雷神ってさ、姉ちゃんが思ってるより良い奴らの集まりかもよ」

「はあ?」


さっきから『はあ?』しか言ってないけど、単にボキャブラリーが少ないわけじゃない。

本当に呆れているのだ。


「心配する必要ないって。だいじょーぶ大丈夫」


呆れかえる私を置いて、達綺は自分の部屋に姿を消した。

いや、大丈夫わけないって。

結局その夜は、明日に不安を覚えながらお布団の中に潜り込んだ。