リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

風が優しく頬を撫でる。

遠くでバイクの音がする。

この街が私の生きる場所。

私が私らしくあれる居場所。

晴れ空のもと、澄んだ空気を感じながら、静かに立ち上がった。


「行こう、2人とも」


私の様子を見守っていた達綺と睦斗。

私は2人に笑いかけ、墓石に背を向けた。


「もういいの?姉ちゃん」

「うん、大丈夫だよ」


どこか寂しげな達綺に笑ってみせる。


「もう逃げたりなんかしないから。姉ちゃん頑張るね」


笑顔で言葉を贈ると、達綺の表情は和らいだ。


「睦斗、行こう」


そして後ろから静かに見守ってくれていた睦斗に話しかける。

視線を絡めると、わずかに頬をゆるませた。

つられて微笑み、傍に寄って睦斗と並んだ。

歩み始めた私たちに追い風が吹く。

それはまるで背中を押されているかのように。


「……また一緒に来ような」


睦斗は心地いい風の音の中、声を発した。


「夢に会いにこの場所に」


そうして太陽に弾かせて、笑顔を輝かせる。


「うん、一緒に行こうね」


だから私も笑うんだ。

睦斗に負けないくらいのとびきりの笑顔で。