そうして達綺と約束した1ヶ月後。

秋晴れの真っ青な空。

真っ白なひつじ雲。

太陽は海に光を弾かせて、水面を眩しく反射させている。


「お母さん、来たよ」


海を見渡す絶景をバックに、隣には達綺。

後ろには睦斗。

そして目の前には――灰色の墓石。

中央には『安西家之墓』と刻まれている。


昔は大嫌いだったこの場所。

いつの間にか自然と避けてしまって、ここに来たのは何年ぶりだろうかと思うほど。

ごめんねお母さん。

会いに来なくてごめんなさい。

でも、もう私は逃げないから。

ちゃんと向き合うことが、ちょっとずつだけど出来るようになったから。


「お母さん、あのね……今日は報告しに来たの。聞いてくれる?」


問いかけても答えは帰ってこないって知ってる。

でもお母さんはどこかで聞いてくれている。

そんな気がするんだ。