「姉ちゃんごめん……」



ベッドの上で、きまりが悪そうにうつむく達綺。

けれど私の心は昨日と打って変わって、晴れ晴れとしていた。


「ガンじゃ……なかった?」

「うん、精密検査したら違ったって。心配かけて……ごめん」


睦斗と一緒に訪れた白い病棟。

嫌悪を覚えることは変わらないけど、もう頭痛はしなかった。


「良かった達綺ぃ〜〜!」

「ぐえっ!?」


だって怖いものはないから。

達綺が最悪の事態じゃなかったから。


「うあぁん!よかったよかった!!」

「姉ちゃん……え?泣いて……?」


達綺に抱きついて泣いているのは、嬉しいからなのかな?

ねえ達綺。お姉ちゃんはちゃんと泣けるようになったよ。

もう達綺に悲しい思いさせないからね。


「く、苦しい……!」


私より大きくなった体をぎゅっと抱きしめる。

うんうん、達綺も震えて感動してくれてるんだね。