「んっ……?」



鼻から抜ける疑問のかたまり。

つまり声が出せなくて、キスされていると分かった。

後ろから不意打ちのキス。

すぐに唇は遠ざかっていったけど、感覚が残ってる。


「これでも分かんない?」

「ひゃっ!」


半ば状況が理解できない私を見て、後ろから耳を甘噛みする睦斗。


「俺の想いは伝わんねえ?」


今度は首筋にキスを落とす。

触れるだけの優しいキス。


「ふふ、くすぐったい」

「優凛……」



くすぐったい感覚に笑うと体を反転させられ、向かい合う形になった。

恥ずかしさが頂点に達して顔を背けようとしたけれど。


「好きだ」

「ッ……!?」

「何があっても……お前だけが好きだ」


突然の告白に頭はフリーズ寸前。


「お前はどうなんだよ。ちゃんと答え聞かせろ」


加えて息がかかるくらいの至近距離での命令。


「睦斗?」

「言葉にして、俺に教えろ」


真っ黒な瞳は夕日を受けて輝きを放つ。

否定することなんか不可能。

だから想いをありのままに伝えるんだ。


「全部……伝わってくるの。睦斗の優しさも強さも、そのあたたかさも。
大切なものは睦斗が教えてくれた。
一緒にいた時間が私の宝物。
だから……大好き!」


最後に笑って睦斗に抱きついた。