リトルソング-最強総長は歌姫を独占したい-

「いい景色!秋の青空も格別だ!」


灯台の展望台に上り、大空と海を眺めていた。


「ああ、いい景色だ。けど――」


睦斗が独り言のように呟く。

言葉の先が気になっていると、背後からぬくもりに包まれる。


「お前がいないと、そうは思わねえ」


いつの間にか、後ろから抱きしめられていた。

耳元で囁かれる、吐息混じりの声。

嬉しくて幸せで、でもどこか切なくて悲しくて。


「ねえ睦斗。嫌じゃないの?」」


口から出たのは、小さく震える問いかけ。


「何が?」

「……私のこと」

「なんで?」

「精神的に不安定なところがあるから、これからも迷惑かけるかもしれないと思って」


記憶を取り戻したくないがために人を傷つけて、多大な迷惑をかけた。

仲間を心から信じていなかった。

今までずっとそうだったから。

信頼できる人は家族しかいないと思っていたから。

眼下に広がる雄大な海を見つめ、静かに目をつむった。

肌に感じるのは睦斗の温度とゆるやかな風。

睦斗は徐々に抱きしめる腕に力を入れ、言い聞かせるように囁いた。


「あれごときで俺がビビると思ったか?」

「睦斗……?」

「お前をこの手から放すと思ったか?」

「うっ、痛いよ」


声は心地いいけれど、ギリギリと巻きつく腕にギブアップ。

睦斗は力を抜くと、吐息たっぷりに耳元で言った。


「バーカ」


は?素敵な言葉を期待したのに、バカとはなんだ!

反論しようと首をひねると──